腰痛、ぎっくり腰
症状と原因

腰痛の多くは筋肉が攣った状態(拘縮)の時に発痛するといわれています。 朝起きる時、椅子にしばらく座っていて立ちあがる時に痛くて腰をすぐに伸ばせない、伸ばそうと思うとビクッと来そうだ、おそるおそる何かにつかまりながら歩くと除除に腰が伸びてくる、これらは足が攣ってこむら返りを起こすのと似ていて、腰の深い位置にある筋肉(大腰筋、腸腰筋などでインナーマッスルと云われる)が疲労等で過敏になっており、何か少しの刺激で腰の筋肉が過剰に反応し痙攣を起こしかねない状態です。 一方腰・背中の表面に近い位置にある筋肉(棘筋・最長筋・腸腰筋を合わせて脊柱起立筋と云います)が張ると前かがみになった瞬間に痛みます。比較的背骨に近い場所で腰の下部から仙骨辺りにかけて症状が出やすい。 これらの縮こまった筋肉に鍼を刺すと1~10分位で除除に筋肉が弛緩してきて圧迫を受けていた神経や血管も解放され血行がよくなります。これにより重だるさを感じさせる疲労物質が代謝され痛みが緩和します。 収縮した筋肉は鍼刺激に反応して一瞬更に収縮しますが、数十秒から数分内で逆にだんだん弛緩することが解っています。 これは肩や頸のこりでも同じ反応をします。頚・肩凝りは同姿勢の継続などで筋が収縮しっぱなしな状態が続くと、その後姿勢を変えても完全に元にもどらなくなり絶えず少し収縮した状態が保持されてしまうのです。この緊張しっぱなしの筋を鍼は弛緩させるのです。 腰痛の場合、本人の自覚は少ないのですが多くの人が臀部外側やふくらはぎにも凝りや圧痛があります。腰痛はまず脚の疲れがあってこれが過剰になると臀部筋も緊張してきて、さらに耐えられなくなると腰にも影響を及ぼしてきます。従って腰痛治療には下肢、特にふくらはぎや臀部筋の治療も重要になります。 東洋医学には体全体に流れる気の道筋を示す「経絡脈」、筋肉の流れを示す「経筋」という概念がありますが、腰部と臀・下肢部が“足太陽膀胱経”や“足少陰腎経”と言われる脈や経筋で繋がっており腰と脚とが密接に関連していることが分かります。

まなぶ鍼室のはり治療

1)腰を伸ばす時に痛い大腰筋と言われる腰骨から小転子(股関節の内部)に着く大きな体内筋で太ももを上げる作用があります。 この直径6~10cm程の太い筋に鍼を刺します。所謂インナーマッスルと言われる筋の一つで、体表から6-12cm奥にあり指で直接触れることはできません。 2)腰を横に曲げたり、回旋すると痛い 腰方形筋といわれる骨盤上縁から12番目の肋骨に着く筋で自分でも脇腹よりやや背中側であばら骨がない辺りを上から下へ親指で押すと硬く感じることができます。 3)前に屈むと痛い 脊柱起立筋と言われる背骨の脇にある筋群でこの場合頚の後ろや仙骨部にも凝りを感じることが多い。特に1,2)は複合していることが多く、これらの部位から臀部下肢へ の刺鍼を加減して治療します。

治療回数

筋性の腰痛で症状が起こって数日以内であれば1,2回の治療で日常生活がなんとかこなせる程度に回復します。慢性腰痛の場合でも1,2回で改善がみられれば筋肉性の鍼摘要症状と考えます。 ちょっとおかしいと感じたら早めに鍼で筋を弛緩させておくことは重症化予防のために有効です。 椎間板ヘルニアの場合には付帯症状としてほぼ100%ヘルニア周辺部筋肉の緊張収縮を引き起こしており、また周辺軟部組織の血行も悪く代謝不良や神経痛を伴う場合もあります。鍼治療で椎間板ヘルニアそのものを凹ませることはできませんが、周辺筋を弛緩させ、血行を良くすることで症状の緩和を図れます。 因みに椎間板ヘルニアがあっても日常生活に支障なく過ごせる人も沢山います。症状が無い人は病院に行かないので正確な全体像は分からないのですが、ある疫学調査では人類の半数以上が加齢とともに多少なりとも椎間板ヘルニア傾向にあるとのことです。 因みに椎間板ヘルニアは20代、30代の比較的若い頃に初発し易くまた重篤化し易いといわれています。年相応に腰と旨く付き合いっていくことが大切です。

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