目頭が痛む、目がしょぼしょぼする、頭痛、頸部の凝り、不眠、鬱傾向などあらゆる症状に関連してきます。原因は脳神経障害などがない限り、圧倒的にPCやスマホの見過ぎ、長時間の読書など、近くの対象物を長時間見続けることにあります。 近くを見るときは目のレンズである水晶体を厚くするために、輪状の毛様体筋が収縮しますが、この作用は動眼神経という副交感神経が担っています。人にとって本来近くを見る状況は、家族(信頼できる者)と共に食物を摂る時で、リラックスして内臓を働かせる場合でした。遠くを見るのは、餌を探すため、天敵をより早く見つけ逃避するためであり、交感神経が働く場面でした。 それが人の場合、近くを見る目的の中に、絵・文字を発明し、当初の癒し効果から意思疎通が加わり、ここ数千年で書き物、本による読書が発展し、現代ではTVが普及し、今やより目に近いPCやスマホが普及しています。本来副交感神経はリラックスしている状態で働き近くの物を見るように進化してきましたが、一方近くのスマホ等を見て得られる情報を処理するのは交感神経が働くので、スマホやPCを見続けることは交感・副交の両自律神経を同時に働かせているわけで、体にとって多くのエネルギ―消費が伴います。 これが眼精疲労を起こす主因であり、目以外にも不調を起こす要因と考えています。
自律神経のバランスをとることを目的に、主に肩甲骨間の背骨際に鍼を刺入し、その鍼の上にお灸を載せて背中を温めます。お灸が鍼から滑り落ちたり、皮膚に直接触れることはないのでご安心下さい。 筋では眼精疲労に係る筋として、後頭骨際(首との境部分)の奥にある後頭下筋群があります。目が動くたびにこれに連動して動く頭の傾きを微調整し、平衡を保つようにしています。この筋が疲労で過緊張し収縮しっぱなしになると、頭の動きの微調整ができず、頭が絶えずふらふら揺れ動いて平衡を司る三半器官のリンパ液に変調がきたされ、首肩凝りのみならず、めまいや頭痛も起ようになります。鍼をこの筋群に刺入し、緊張を和らげ、頭の動きを微調整できる状態に戻します。 また後頭下筋群の緊張に連動して、首肩の筋も緊張し、首凝り、肩凝りが起こりますので、これらの筋も併せて鍼治療を行います。 また目の使い過ぎは直接頭部の血流を増やすことになり、長時間続くと静脈血、リンパ液の回収が追い付かづ滞留を招いて所謂頭の浮腫が起こり得ます。頭を触るとブヨブヨするところがある人は、目の使い過ぎが原因かもしれません。従って、頭部血流、リンパの還流促進のために頭皮に刺入します。痛そうですが、そうでもなく意外と気持ちの良いものです(個人差はありますが)。 また、眼球を動かす眼筋の一つに、目を内側(寄り目方向)に動かす内側直筋があり、近くを見続けるとこの筋が緊張しっぱなしで疲労します。目が疲れた時自然と目頭を押さえますよね、抑えると気持ちの良い場所の奥に内側直筋があります。この筋を目的にも鍼を入れます。 鍼が始めての患者さんには恐怖心を持たれる方もおられますが、目玉に刺さることはありません(というよりあってはなりませんが)。また上瞼を上に引き上げる眼瞼挙筋と、これまた抑えると響くこめかみ部分の側頭筋にも鍼を入れ、筋緊張を和らげます。これらの鍼同士を電気コードで繋いで低周波電流を流すこともあります。一定のリズムがかなり気持ちよく、治療後よりすっきり感が増す人が少なくありません。
一回の治療でもかなりすっきり感が出て、治療後数日は効果が持続します。しかしながら、目の疲れを訴える患者さんは日常的にPC、スマホを長時間利用している人が多く、治療で一時的に疲労回復したが故に、また長時間PCに向かい過ぎて再発を繰り返すようです。 そこで既に何度も目にしていると思いますが、お勧めはPCでもスマホでも一回の連続使用は15分までとし、PC・スマホから目を離し、1、2分間遠くを見ることを習慣化することです。これで疲労を蓄積前にリセットできるので、一日終了時の疲労感は格段に和らぎます。これは交感・副交感神経の休憩にも繋がり、エネルギー消耗を抑えることにもなります。 自らも予防することで、毎週眼精疲労で鍼治療をしていた方が、月1,2回程度に減らせた方もおられます。