全身倦怠感、不眠、めまい、耳鳴り、頭痛、さらに自己免疫疾患といわれるリュウマチ様疼痛や喘息、また便秘、下痢 なども含め、これらは全てが自律神経失調と見做すことができます。これらの症状で病院に受診すると、特定できる菌やウイルス感染が除外できれ、画像診断で臓器にも異常が見当たらず、これといった原因が特定できない場合、自律神経失調症と診断されることも少なくないようです。ですが、自律神経はだれでも日常的に一過性に乱れることがあるもので、乱れるのは正常に働いている証拠、病気ではありません。乱れても数時間で自然治癒力により、勝手にバランスが整えられます。自律神経とは昼間の活動期に優位に立つ交感神経(アクセル)と、食物を消化吸収したり、夜寝ている間に痛んだ体の細胞を修復したりする副交感神経(ブレーキ)を合わせて自律神経と言っています。これらは相反する働きをして、自分で意識しなくても勝手に動いてくれるので自律神経と称します。各々役割分担があり、状況に応じて交感神経系が強くなったり、副交感神経系が強くなったりすることが正常な証拠です。 が、時に交感神経が優位になりっぱなしで、副交感神経の働きが鈍くなる、あるいはその逆もありで、バランスが乱れ自然治癒力が追い付かなくなると、体が変調し、不眠などの症状として表にでてきます。 自律神経失調症には、一ヶ月以上継続して起こる睡眠障害で、日中の活動に支障をきたす等、一応の定義はあるようですが、非常に主観的なものと思われます。病院での受診で薬物療法をしている方が多いのですが、だんだん薬に耐性し、ますます導眠剤から抜けられない患者さんも多いようです。
自律神経は脳・脊髄の中枢神経から出て全身に行きわたっています。背中の体表や筋肉の位置では、後頭部と頸の境付近と仙骨・尾骨部が副交感神経の影響が大きく、頸下部から腰部までは交感神経の影響を受けやすい場所です。長く自律神経のバランスが崩れた状態では体表のどこかに凝りや、張り、あるいは浮腫みとして表れてきます。これらの体表変化がでた個所をはり・きゅうで緩和を図り、自律神経のバランスを取り戻します。耳鳴り・めまいの項目で記載しましたが、この症状の多くで後頭部から頸上部にかけて凝りが見つかりますが、これを緩和することで圧迫された動きがわるくなった副交感神経の回復を促しています。
1回あるいは2、3日おいて2回目の治療で、少し体全体の調子が上向きだと感じて頂ければ周1回、4-5回の治療であとは自己治癒力で勝手に治っていくことが期待されます。 ただ、生活習慣や環境要因も一緒に改善することも大事で、改善がままならない場合には寛解と症状を繰り返すことが多いようです。但し一時でも楽になったと思える状態を持つことが、自然治癒力の活性に必要です。