ド・ケルバン病、ばね指を総称して腱鞘炎と呼びます。ド・ケルバン病は母指の伸筋腱(親指を伸ばして広げる筋)を包む手首に位置する腱鞘、ばね指は母指、中指に多いが人差し指(示指)、薬指(環指)、小指にも起こる屈筋腱(指を曲げる筋)の各指の付け根に位置する腱鞘で起こる病気です。 原因は指の使い過ぎといわれますが、妊娠中や更年期の女性に多く、女性ホルモンとの因果関係もしてきされています。はっきりした原因は分かっていません。 腱鞘とは腱が体表に必要以上に浮き出て損傷を受けやすくなることを避けるため、ズボンのベルト通しのように、券を包む役割をしています。使い過ぎ等で腱鞘が炎症で腫れてしまうと、腱を通す穴が小さくなり腱の動きがそこで止められてしまい、スムースな動きが出来なくなります。 筋の両端はが腱と呼ばれ、本症に係る腱は片方が指の骨、反対側片方が前腕、上腕骨に付着しています。指の使い過ぎはその筋腹(筋肉の太い部分、筋腹は手ではなく、ほとんど前腕に位置します)が張って収縮し、筋腹が短くなった状態。その分指を動かす時に腱の移動距離が増え、腱鞘と摩擦も大きくなり炎症を起こしていると考えられます。
張った前腕の筋腹を探り、集中的に鍼をいれ筋収縮を緩めます。指や手首の関節部位にでる腱鞘の痛みには細い鍼と主に米粒より小さく艾をひねった灸で対応します。前腕以外にも関連する上腕、肩甲骨にも鍼を入れ、腕全体のバランスをとるよう注目します。
発症後一ヶ月以内であれば、一回の治療で痛みが3-5割軽減します。慢性化したものでも2-3割軽減しますが、翌日もしくは数日後また元に戻ることも多いようです。一回の治療で実感できる改善があれば、痛みが強いときは週2回、計4-5回で8割がた改善が望めます。慢性化し治療で2割程度の改善の場合は週1回、計5回で更なる効果があるかを見極め、継続するか否か判断します。