”感”を大事に!
今マスコミでは衆議院選挙のニュースで花ざかりですが、どのキャスターも国民は政党が多すぎてどの党を選んで良いかわからないのだ、と投げかけています。そんな中、東大現役学生が立ち上げた「日本政治.com」が質問に答えると自分がどの政党の考えに近いかを判定してくれると話題になっているのだそうです。
なるほど、時流に乗ったアイデアで20の質問に賛成反対を答えるだけで自分は○○党の考えに近いのだと納得させられ安心までしてしまう、というのだがあまりにも受動的過ぎないだろうか?
結果をゲームの一つ程度に捉えている分には面白いかもしれないけれど。
翻ってこと自分の身体に関して、我々は数値やMRI診断などにお任せきっていないだろうか?
例えばコレステロール、中性脂肪の適正値については絶対的な確信があって決められたものではなく、数十年単位で追跡する疫学調査ではコレステロール値の高い群のほうがむしろ長寿であるとの研究結果もあります。これに対する反論もあるのでしょうが、要はコレステロール値がある範囲内にコントロールされていた方が好ましいことは分かったが、その適正範囲については未だ分からないことが多いということです。
そもそもコレステロール値についても体には自分に合うようにコントロールする機能が本来備わっているものです。またMRI検査でも”多少骨の間隔は狭まっていますね”と言われることがありますが、そもそも間隔が狭いことが痛み等の直接の原因なのか? 最近の研究報告でそうとは言い切れないことがわかってきました。 誰しも加齢とともに間隔はある程度狭まってくるし、狭くても痛み等の症状が出ない人もいるのです。
今回の選挙で自分がどの党に投票したら良いのか判断に迷った時、大事にすべきは”感”だという人がいてなるほど頷けました。
現在は随分科学技術が発達した時代に見えてもこれまで人類が解明できたことは万物事象のほんの一部にしか過ぎず、それも今後覆ることも有り得るのです。未解明なことだらけです。医学もその一部で、時の人山中伸弥教授も”感”がips細胞の発見につながったのだと言っております。
体においても感が全て正しい判断になるかどうかわかりませんが、そもそも正しい判断という絶対的基準もないわけです。自分の体の状態をよく観察し自身が持つ”直感”をもう少し大事にしてもいいのではと思うのです。
鍼灸治療は約2千年前に基礎体系が確立したと言われていますが時代とともに治療方法も変化してきました。
現代では医学の基礎知識も取り入れながらより客観的な病態把握を目指していますが、治療においては今も昔も施術者の”感”が大きく作用しているし大事な要素だと考えています。鍼灸治療を受ける側にとってもこれが自分にあっていると直感できればその効果はより大きいものになります。