白色は病院にふさわしいか?
みなさん、病院の内装はどこも白色が基調になっていることに違和感を感じたことはないでしょうか?
違和感はなくても何故?って思った方も多いと思います。白は清潔感があるからってことでしょうか。
西洋医学が発達したのは外科手術や感染症の予防・治療分野からで、戦場で傷ついた兵士を治癒させ、再度戦場に復帰させ兵力のロスを少なく保つことと密接だったと言われています。
19-20世紀にかけ細菌が伝染病の原因であることや、細菌が熱によって死滅することが解明され、消毒の概念が生まれ負傷した兵士の傷口の化膿を防ぐことできたからです。
この頃より衛生観念が生まれ、クリミア戦争でのナイチンゲール時代辺りから細菌を媒体する血液や泥等の衣服やベッドへの付着等が直ぐ分るということで治療着や建物を白色とすることが定着していったように思います。
かつて衛生観念が無かった時代には白衣、白壁が大いに役立ったのかもしれないが、現代日本のように衛生観念が行き届いた国、地域においては白色である必要があるのだろうか?
もともと白色は治療者側からの視点から使用されてきたようですが、患者側の視点からはどうか?
長期入院等で四六時中病室の真っ白な天井、壁を眺め続けることは精神衛生上適切なんだろうか?
特に高齢者の場合、入院すると数日でせん妄が現れたり、急速に痴呆が始まったりすることが少なくないと言われます。その主原因は寝っぱなしで動かない事、食事も自分で取らない、取れないことだと言われますが、さらに真っ白な環境とは無関係なのだろうか?
我々高齢者手前の世代でも病院に行くと何かしら緊張感は感じるもののリラックスした気にはならないものです。白色は本能的に緊張をもたらすというより、医療の色との観念がほとんどの人に後天的に刷り込まれてしまうからかもしれません。
個人的意見としては病室があたかも自宅の一室であるが如く作りにした方が患者の治癒力向上に良いのではないかと思うのだがいかがでしょうか。
p.s. 日本ではかつて白色の花嫁衣装は嫁ぎ先の色に染まるように純真無垢を表したと理解してます。現代感覚では男女差別といわれそうですが、西洋のウエディングドレスも白色で洋の東西問わず花嫁に似たようなイメージを持っていたのかもしれません。