はり治療の時間と効果

先般NHK番組’試してガッテン”で同じ薬でも服用する時間によって効果が違うことを取り上げていました。近年細胞内たんぱく質が12時間サイクルで変動することが分かりこの体内時計により生理作用もコントロールされていることを治療にも生かそうとの研究が進められているというものです。

東洋医学では病気の原因を五臓六腑との関りで捉えることを重視しており、またこれら蔵腑に其々活性化する時間帯が割り当てられています。例えば肝(肝臓)-1~3時、胃-7~9時、小腸-13~15時、腎(腎臓)-17~19時となります。この時に関連臓腑からくる失調を治療すると効果が高いという考えです。

ただ夜中に鍼治療するなど、治療時間を厳密に守るのは非現実的で時間治療は理論としては構築されたものの実用ではあまり普及しなかったようです。

このように細胞にも時間サイクルがあることが最近の科学で解明されてきたのですが、古代において既に経験則や古代易学などからこのことを感じとって当時の科学でそれなりに体系化し、はりきゅう等の治療にも利用しようとしていたことは驚きです。

ただ東洋医学の特徴としてその理論体系の基礎となる陰陽五行論は自然界や天文の長年の観察からその法則性を見出されたものですが、全てが証明されたものではなく、また時の政権の意向を汲んだためか権威化を図るため無理やり体系化しようとして理論上こじつけも多く含まれているようです。人の体も時計にコントロールされ臓器毎に治療に向いた時間がありそうだ、までは素晴らしい発見でしたが、2時間間隔で12ある臓腑の活動時間を24時間の中に綺麗に当てはめてしまったところが行き過ぎでした。

因みに現代科学による生理代謝から、脂肪は午後1~4時位の間は体内での吸収が阻害されやすいので、ケーキの生クリーム等の脂肪分をとっても太らない、カルシュウムは夜20~22時頃に吸収されやすいので牛乳でカルシュウム補強を図るには最適な時間だそうです。

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