筋肉科 その1

・立つ瞬間や寝て起きる週間に腰・膝が痛む、

・背筋を伸ばすと背中の張りを感じる、

・肘が肩より上に上げようとする時に肩が痛む、

・首を捻ると痛い、

・テニスで強くボールを返球しようとすると肘が痛む、

このようにある静止姿勢から体を動かす瞬間に体のどこかに出る痛みを「始動痛」と言います。

これに対し神経痛も含めじっとしていても痛みを感じるものを「自発痛」と呼んでいます。

自発痛は捻挫や突き指をした直後からでる急性症状で”ずきんずきん”と継続する炎症反応ですが、これが数日過ぎると慢性化して始動痛や押すと痛い圧痛に変化してきます。

またマラソン後の筋肉痛や長時間の筋緊張から生まれる肩凝りなどもアキレス腱を伸ばしたり、肩を強くすくめると痛みが出る始動痛とみなせます。


始動痛の原因は筋肉や腱(筋肉が骨に付着するためにだんだん細くひも状になった部分が腱)、靭帯(関節部の骨どうしをちょっとやそっての力で離れないようにするための伸び縮みしないベルトの役割)に関わることが多く、その大部分は関節の不具合や過度の運動疲労により筋が慢性的に萎縮して血行不良や疲労物質の代謝不全を起していると考えられています。

病院でがこれらの症状には整形外科が対応し、レントゲン写真やMRI検査で骨や軟骨、血管・神経などに形状や器質的異常があるかは分かるのですが、骨・関節に治療を要するような異常がない場合、筋肉のどこが萎縮して痛みがでるかまでの判断は難しいようです。

そこで新たに「筋肉科」という診療科を設けてはどうかという意見もでてくるようですが、

1.筋肉の凝り感や痛みは個人の自覚症状で個人差が大きいく、他覚的数値化が難しい

2.筋肉の痛みはほっておいても時間の経過とともに自然治癒し解消することもある

4.日常生活活動に大きく支障をきたす重篤さが少ない

等の理由から、病院として健康保険に適用できるような一般化した診断法や治療法が確立されておらず、従って今現在「筋肉科」の設立にも至っていないものと思われます。

そこではりきゅう(鍼灸)、あん摩・マッサージ・指圧が筋肉科の役割を担っているとも言えます。

特にはりきゅう(鍼灸)は即効的に筋肉の収縮を和らげる効果があることをごぞんじでしょうか。

1.筋肉に鍼をさすと筋は異物侵入を阻害しようと一瞬更に収縮しますが、その後数分で逆に弛緩してくる

2.刺鍼部の血行が良くなり筋の酸素不足を解消し痛みを生み出す代謝物の浄化を促進する

ことなどが科学的にも解明されてきました。

しんきゅう(鍼灸)師が一番多く患者さんの皮膚・筋に触れます。

検査機器などなかった古代においては患者さんの症状を診るためには皮膚の色や滑らかさ、筋肉の硬さや圧痛、脈の状態、舌の色、顔色など体表に現れる変化を読み取ることしか方法がなかったのです。

これが長年の経験・蓄積でツボの誕生になったりしてきましたが、現代のしんきゅう(鍼灸)師は現代解剖学も学ぶことができるので、ツボと解剖学を合わせてより効率の良い治療ポイントを選んでいます。

はりきゅうは筋肉の弛緩作用以外に自律神経のバランスなどにも効果があり、胃腸障害、不眠、喘息などにも適用されていますが、これらについては別途ご説明したいと思います。

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