体内の様子を可視化する現代医学

開腹手術、MRI、CT、エコー、内視鏡 等どれも医学にとって今や欠かせないものばかりです。病気に対する近現代医学、所謂西洋医学の方向は病気・不調の原因は体の内部で起こっている変化を直接可視化することで突き止めようと進化してきました。

これを支える医療機器の発展は日々目覚ましく、体の内部に対する新たな見解もどんどん発表されています。

そんな中、現代医療においてすっぽり抜け落ちてしまったのが体表に現れる変化を診ることです。体表といっても皮膚の色やできものの有無に限らず、むしろ筋肉の張り感や、触指による特定部位の固さに現れる体内情報です。人には内臓体表反射というものがあり、体内の状態変化がどこかしこの体表、主に筋の硬さとして現れます。この体表硬結を和らげると、その部位に関連する内臓へ反射し、血流が促され体内の改善に向かうことを人々は古代から経験則で理解し、鍼灸や指圧治療として利用してきました。

従って、現代医療と鍼灸治療は病気を緩和するという目的は同じでも、病因の判断指標とするものが、直接体の内部か、体表かの違いがあります。

かつて、と言ってもほんの30年程前、今ほどMRIやエコーなどが普及していなかった時代は、お医者さんもお腹を触ったり、脚や手の痛い場所を自身で触れて確認していたと思いますが、昨今のお医者さんはもっぱら画像診断になって、患者さんに直接触れることはめったにしなくなったようです。

体の内部画像診断で概ね原因が究明できて、それぞれの状態に合わせた治療法も開発さることを目指すも、それが出来ているのは病気全体の精々30%くらいかな? とおっしゃる医師もおられます。

内部画像技術がまだまだ足りないのか、あるいは内部状況がどんどん可視化できても、それを解析する医学知見がまだまだ手探り状態なのか、いずれにせよ現代医療と言えど現時点全ての病気に対応可能ではありません。

一方体表へのアプローチが唯一の治療法である鍼灸や指圧手技療法はやることは単純でありながら、体表変化を読み取るのはまさに施術者の経験に左右されると思います。体表変化と患者さんの認識を組み合わせながら治療していきます。それ故施術者にとって患者さんの体表から得る情報が的確な治療に、なにより重要になっています。

現代医療と鍼灸・指圧療法が日本でも、もう少しタッグが組める機会が増えれば患者さんにとって医療が今以上に有益だろうと思います。