老化と遺伝子

宇宙が誕生して138億年、太陽系・地球が誕生して46億年、生命の起源から40億年、哺乳類誕生から2億年、猿人が2足歩行して500万年、猿人が石器を使用し、火も扱い始めてから200万年、現在の人の祖先ホモ・サピエンスが誕生して30万年、日本列島に人類が渡ってきて4万年。 縄文人の寿命は15歳、江戸時代の日本人が35歳、そして日本人の平均寿命が60歳を超えたのが1955年(昭和30年)頃。 現在の日本人平均寿命は男性82歳、女性87歳。 現代人の寿命が大きく伸びた要因は、住環境の一定化(変化が少なく身体的ストレスが減少)、食料・栄養の充足、医療の介入(新生児死亡率の減少が著しい) 一方野生動物が人類と同様にここ数十年で寿命が各段に伸びたとは聞かない。もはや人の介入無しには生きていけないペットの犬・猫が数年伸びているに過ぎない。 人類を含め生物の本能は自らの遺伝子を未来永劫残すことにあります。 遺伝子は効率よく次世代に引き継がれ生き延びるよう進化してきました。その結果一世代の寿命も凡そ決まってきました。 縄文人から江戸時代まで4万年かけて寿命が2倍以上になりました。江戸時代から現在まで300年でまた2倍以上に伸びました。 しかしながら、江戸時代の日本人と現代人の遺伝子にどれほどの違いがあるだろうか? 昭和30年(1955年)と現在2023年の日本人の遺伝子に違いがあるだろうか。この約70年で更に40%程度寿命が延びているのだが。 おおざっぱに言えば、今の我々が持つ遺伝子に、60歳を超えたらどうするかの書き込みがありません。 高齢者はみな人為的な環境の介入を享受しながら、体は日々試行錯誤しているんです。 細胞一個一個に寿命があって人の場合、骨は90日、皮膚は28日、胃は5日、小腸は2日など部位による違いがあるが一定の期間で新しい細胞に置き換わっています。体全体が新しい細胞に置き換わる期間が6-7年といわれます。ただし脳神経細胞、卵細胞は誕生した時のまま入れ替わりません。 ガン細胞とは本来その細胞の遺伝子が持つ分裂サイクルが壊れた状態です。例えば通常数日で新しい細胞を生み元の細胞は消失していきます。 がん化した細胞は数分・数時間で増殖を繰り返し細胞の自然消失を上回ります。結果本来その細胞が集まってできている臓器そのものの形のみならず機能も破壊してしまいます、細胞遺伝子の暴走です。 本来細胞には生体全体と歩調をとり、部位ごとに生涯に何回細胞分裂をするか生まれた時から遺伝情報に組み込まれています。 これが本来想定された寿命以上になると、細胞はそろそろ役目を終えるはずなのに、まだ役割が果たせていないのか、もっと働かねばとばかり、増殖してしてしまっていると考えられます。ガン化した細胞は臓器全体がガンで不調になっているとは気づかずに、一生懸命自分の役割を果たそうとしているのかもしれません。 老化に伴いガン患者が増えるのは、細胞に60歳を超えた体に対応する遺伝情報ができていない、いわば遺伝子の進化が長寿に追い付いていないのではないでしょうか? 何歳まで生きられるだろうか? 日々心配したところで誰にもわかりません。 60歳を超えたら、生きてるだけでめっけもの、今日も朝目覚めた、ご先祖様に感謝です、で十分ではないだろうか。