鍼灸と漢方
東洋医学の基礎は約2千年前の古代中国で一応の体系化がなされたと言われています。一応といったのは当時の文献がほとんど残っておらず、その後2,3百年後とか千年以上経った時代に当時の文献を引用したり、内容を推測して新たに書き直した文献の写本などが断片的に現在まで残っているからです。その間古代中国の理論体系をそのまま継承してきたのではなく、新たな理論に一部置き換えたり付け加えたりしているのです。
従って現存する古典医学書には二千年前の理論そのままと思われるものと、その後千数百年に渡って書き換えられてきたものが混ざっています。
日本には4-5世紀の大和朝廷時代に既にこれらの医術が直接古代中国や朝鮮半島を通じて伝わっていたと考えられますが、文献や学者とともに体系的な学問としてもたらされたのは遣隋使・遣唐使から本格化したようです。
鍼灸や漢方の医術は長らく貴族や高級武家など一部の上流階級で用いられていたようで江戸時代になって大衆化してきたようです。現在の日本では鍼灸(施術できる国家資格は「はり師」と「きゅう師」で別の資格です。)と漢方(薬剤師)の取り扱いが別の資格になっていますが、もともとの基礎理論は同じです。