許容範囲
先日、産地直送店から生産者名入りリンゴを買った。
4個入りの内一つの芯部分が真っ黒に腐りかけていた。
リンゴに限らず割って分かることは他の果物、野菜でも時々出くわすことだが、そもそも果物の中の状態を生産者や販売者は出荷・販売時にどこまで把握できるのだろうか? 生産者が腐りかけているものを知っててわざわざ出荷することはないだろう。
最近のレーザーや音波、X線技術によりひょっとして中身までチェックできるようになっているのかもしれない、だとしたら本品はチェック漏れが混じってしまったのか?
これを確かめるために腐りかけたリンゴ現物を持って販売店に問い合わせてみた。
結果、生産者側にリンゴ個々の中身の状態をチェックできる装置や方法はなく、やはり経験に基づき外見で判断しているのではないかとのことだった。当然販売店も外見の目視以外にはね品を探す方法はない。
現代技術を駆使すれば中身を測る装置を製作できるのかもしれないが、その場合装置の製作費、オペレーションコストが高すぎて、一個100円、200円で販売されるリンゴの選別では採算が全く合わないのだろう。
一方販売店の担当者は予想通りお詫びと共に返金、交換を申し出て頂いたが、当方は選別の実態を知りたかっただけでクレーマーになるつもりはなく、申し出を丁重にお断りし持参したリンゴはそのまま持ち帰り、正常な部分を美味しく食べた。
かつて自分が子供だった50年以上前にはリンゴ、冬ミカン等は木箱で販売されていて買い手も一個一個確認すらできなかったように思う。時々箱の中には何個か外見からして痛んでいるものも含まれていたが、それが一般的で多くの消費者は「今回は当たりがいいね、悪かったね」、とあるがままを受け入れていたようだ。
経済発展と共にあらゆるものが規格化され、規格内であれば”安心”が与えられるが、これと裏腹に我々の許容範囲が狭くなってきた。
これは健康管理にも当てはまる。血圧、脂質、糖質、肥満、物忘れ、何でもかんでも数値化された。
現代医療はこれら数値から少しでもはずれたら”病人”扱いになって、薬で無理やり基準範囲に納めようとする。
しかも日本の基準値は科学的根拠が定まっていないにも関わらず世界一厳しい値になっている。
理由は志ある医師や研究者が指摘しているように医療提供者側の政治的・経済的事情が大きく影響していると思われることだ。
一方、そもそも薬による予防効果は世間一般に考えられているイメージよりはるかに少ないにも関わらず薬も飲めば”安心”と”病人”になってしまった側も思いこんでいる。
リンゴに対する許容度を広げれば、少し楕円形であったり、表面に直系2mm程度の虫食いのような茶色くなった部分があってもちろんのこと、芯部分が黒くなっていても十分リンゴとしての価値はあります。
健康診断で示される数値が多少基準値超えていても90%以上寿命に関係なさそうです。
むしろ根拠に乏しい基準値に惑わされ、不安に駆られているより許容範囲を広げ、健康に自信をもったほうが余程体に良いようです。
基準値に関する本は沢山でているが、最近出版された下記の本も参考になりますので読んでみてはいかがでしょうか。
「薬の9割はやめられる」 松田史彦(医師)著 BSクリエィティブ
「65歳からは検針・薬うぃやめるに限る!」 名郷直樹(医師)著 さくら舎