夏風邪と抗生物質

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今日関東地方でも梅雨が明けたとみられるらしい、と発表された。熱い夏本番です。

最近夏風邪をひいて喉が痛いという人が多いようです。熱はほとんど出ていないが、咳、痰が絡むといった様子。

早速病院に行くと抗生剤を処方される患者さんがいるようです。

結論を言うと、風邪はほとんどウイルスの繁殖が原因で、細菌にしか効かない抗生剤は全く効果がありません。ではなぜ処方する医師がいるのか?

風邪で体力が落ち免疫力が下がると細菌性の病気、例えば肺炎球菌などの二次感染を予防するから、と説明されるらしい。

ではデメリットは何か?

1.二次感染の心配が必要な人とは体力が相当落ちた高齢者や、寝たきりの入院患者などです。肺炎球菌や結核菌などは我々の身の回りに常在していますが、普通体力を持った日本人は十分な自己免疫力をもっており、これらの菌が簡単に繁殖しないようにできています。

普段健康な子供が風邪をひき、さらに肺炎球菌に罹患する確率は1%以下といわれています。この1%以下のために、風邪をひいたが休養していれば自然に治る、残り99%の健康体に抗生剤を使って耐性菌を作ってしまうデメリットのほうがよほど怖いのです。

大人でも、少なくとも風邪をひいたと思い、自力で病院に行って、ついでに近所で買い物をして帰ってこれるだけの体力がある方は、十分な自己免疫をお持ちだと思います。

にも拘わらず抗生剤を多用すると、これに打ち勝つ菌を育て繁殖させてしまうことがあります。抗生剤で二次感染を予防するかもしれないメリットよりも耐性菌を生み出すデメリットのほうが圧倒的に高いことが指摘され、近年WHOでも厚労省でも風邪で抗生剤を処方しないように通達しています。

普通の健康体の方にとって、肺炎球菌は発症してから初めて抗生剤を使用して治すほうが

よほど安全です。体調がちょっとおかしい、といってすぐに服用することは避けるべきです。

2.抗生剤は悪玉菌のみならず人体の中にあるいわゆる善玉菌も殺傷してしまい、善玉、悪玉のバランスを乱し、結果悪玉菌を増やしてしまう傾向にあります。腸内細菌のバランスを乱し下痢になることもあります。

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